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亨兄との出会い
「隣に引っ越してきた岸川です。この子は亨。小学校6年生です」
優しそうな夫婦と、端正な顔立ちの子供が山田家の玄関で引っ越しの挨拶をしていた。
「あたしっ、あたし、あーちゃん。とおるおにいちゃん、よろしく」
私、あーちゃん~亜里沙~の母が、娘の頭をなでながら言った。
「年が離れすぎてるから、遊ぶ、ってこともあまりできないかもだけど、たまに顔を出してくれると嬉しいわ」
「はい!小さい子は大好きなので、学校の宿題が終わったら遊びに来てもいいですか?あーちゃん、こちらこそよろしく」
にこっ。輝くような笑顔だと私は幼心にも思った。幼いながらも、一目惚れだった、と私は思い返す。
私の両親がそれを微笑ましく見ていた。岸川のおじさん、おばさんも同じ気持ちだったのだろう。
「これ、つまらないものですが。亜里沙ちゃんが入学するころ、亨は中学生ですね」
「えっ、いっしょにしょうがっこう、いけないの?」
私は、がっかりしたのだと思う。
「うん、僕は、来年から中学生だからね。小学校1年生、中学校1年生、同じ1年生だね」
「そっかぁ」
「それでは、今後ともよろしくお願いします。失礼します」
「はい。こちらこそ、よろしくお付き合いください」
これが、亨兄と私との最初の出会いだった。
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