四十六日目(1)

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 どこかの室内のようだ。ベッドに腰掛けた女性が映っている。その簡易的なベッドから、病院の一室だろうと、推測できた。  映し出されている女性は、彩乃だ。 「録画できているのかな?」  映像の中の彩乃が、首を傾げていた。そして、咳払いをひとつ。畏まったように、話を始める。 「えっと、しゅうくん。……しゅうくん。  つい、二回呼んでしまった。  急に居なくなったりして、ごめんなさい。しゅうくんは優しいから、きっと心配して、探し回ったりしたんじゃないかな?」  そう言って首を傾げる映像の中の彩乃に、「当たり前だよ」と、僕はこたえてしまう。 「そうだね、何から話そうかな? 回りくどいのは苦手だから、単刀直入に言います。  ……私は、為に近づいたの」
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