341人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの世から来た私には、躰が必要だったの。
だから、交通事故に遭って、意識を失っていた女性、百瀬彩乃さんの躰に、憑依させてもらった」
彩乃に出会う、半月ほど前のことだ。横断歩道を渡っていた女の子が、車に轢かれ、意識不明で入院していると聞いた。
もしかしたら、あれが、彩乃だったのか?
「初めて会った日、しゅうくんの前で転んでしまったでしょう?
あれ、実は、わざとなんだ。
しゅうくんと出会うきっかけが、欲しかっただけなの」
そう言って微笑む彩乃を見つめて、わざとにしては、随分と血まみれだったな……、と僕は映像に微笑みを返す。
最初のコメントを投稿しよう!