四十六日目(1)

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「あの世から来た私には、躰が必要だったの。  だから、交通事故に遭って、意識を失っていた女性、百瀬彩乃さんの躰に、させてもらった」  彩乃に出会う、半月ほど前のことだ。横断歩道を渡っていた女の子が、車に轢かれ、意識不明で入院していると聞いた。  もしかしたら、あれが、彩乃だったのか? 「初めて会った日、しゅうくんの前で転んでしまったでしょう?  あれ、実は、わざとなんだ。  しゅうくんと出会うきっかけが、欲しかっただけなの」  そう言って微笑む彩乃を見つめて、わざとにしては、随分と血まみれだったな……、と僕は映像に微笑みを返す。
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