四十六日目(1)

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「もう忘れちゃったかな? 私が言ったこと。しゅうくんの事を、『私が選んだ人』だって、言ったでしょう? しゅうくんなら、パパを助けることに協力してくれる人、って思ったんだ。どう? 私って、男を見る目があるでしょう?」  じゃあ、どうして、僕の前から居なくなってしまった? 「残念ながら、サービス券の有効期間は、もう終わりみたい。この躰も、借りっぱなしという訳には、いかないし。  パパを助けられて、本当に良かった。この世に思い残す事はない。  ……そうだな、ひとつだけ、心残りがあるとすれば、もうすこし、しゅうくんと一緒に居たかったかも」  そうしてくれれば、良いじゃないか。  俯いてしまった映像の中の彩乃に、僕は指先を伸ばす。
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