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「どうしてかな? 利用しただけだったのに」
かつり、と画面に触れた僕の爪が音を立てる。
「変だな……。あいたいよ」
声を振るわせて、泣いている彩乃に、僕は何もしてあげられない。触れることができないものほど、より愛おしく思えた。
「ごめんね。最後まで、我が儘ばかりで。
もう、会えないんだよね。あの世とこの世、交わることのない、平行する世界で過ごすしかないんだ」
そう言って、録画を止めようとしたのか、彩乃が近づいてくる。手を伸ばした所で、動きを止めた。
「そうだ。躰を貸してもらったお礼に、百瀬彩乃さんに、プレゼントを二つ贈りました。
料理を作る才能と、しゅうくんへの恋心。
余計なお世話、とか言わないでよね。
……じゃあね」
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