四十六日目(1)

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「……そうですか」と、彩乃。「あの、もし宜しかったら、すこし、お散歩に付き合ってもらえませんか?」  そう言って、優しく笑みを浮かべる彩乃を見つめて、僕は涙を拭いていた。 「はい」僕は、彩乃の前に、そっと手をさしだす。「あの、どうぞ」  当然のように、彩乃が僕の手を握る。  彩乃が、「ありがとうございます」と、躰を寄せてきた。「なんだか、照れますね」と、笑う。  僕らは並んで、別府公園の歩道を歩きはじめた。優しい風が吹き、歩こうとする気持ちを後押ししてくれる。いつも通り、歩調は彩乃にあわせていた。  こつ、こつ、こつ。彩乃が左右に振っている白杖が、ときおり地面をつく。
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