Chapter.1

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「悪いけど、これで失礼します。」 爽やかスマイルで最後まで女性達を魅了して、私の手を引いて颯爽と歩き出す。 どうしてこうなったーー………!!? 「はーい、楽しんで!これからは智紗は誘わないようにするね!」 ちょっと待って、本気でやめて。私の生き甲斐を奪わないで! 抗議の意味でキッと睨みつけても、「やっと2人きりになれた、寂しかったよ」と微笑むだけ。 湊叶さん同伴では、趣味を楽しむことが出来ない。 友人と遠征旅行に行くことなんて当然許されるはずもない。 こうなったら……奥の手を使うしか。 『風邪を引いて寝込んでいます。うつって仕事に影響が出たらき困るので、しばらく帰ってこない方がいいと思います。』と送信。 あくまでも彼のためを思ってだと言うことを強調する。 我ながら名案だこれ。 よし、これで気を遣って帰って来ないはず。 安心しきってベッドに寝転がり、お気に入りの漫画を読んでいると、 ガチャ、と扉が開き廊下を走る足音が聞こえ、 「大丈夫!?」 ノックもしないで勢いよく部屋に入ってきた。
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