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ぼろきれを羽織る女
煙草で焦がした痕、擦り切れた袖、破れた裾。
今日も私は、身に羽織るもの、というよりもはやぼろきれに近いそのパーカーを着て仕事をする。
サイズだって合ってない。どちらかといえば小柄な私に、LLのパーカーはどう考えたって大きすぎる。感傷に縋るなんて柄ではないが、私は今でもこのパーカーの元の持ち主とつながっているという、意思表示の様なものだった。
彼の足跡を補修をするつもりはさらさらない。むしろ長年の使用と扱いの雑さ加減を表す、ボロボロ具合が気に入ってすらいた。美化して思い出にするよりも、彼そのもののままがいい。
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