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「僕は君に伝えたいことがあった」
今日、地球が終わる。地球に寿命が来たみたいだ。周りを見渡してみても、誰もいない。もう人類という存在は、僕しかいなかった。
ふいに、随分と昔に言われたことを思い出した。
「そっか。それじゃあ、地球が終わる最期の日、君は一人だね」
確かに、君はそう言った。そう言われた。そして、それは現実となった。
「君の言った通りになったね」
地球が終わるというのに、昔の思い出に耽るなんて、呑気なものだ。
僕は不老不死だ。今まで死ぬようなことはなかったけれど、さすがに地球が終わるとなれば、僕も死ぬだろう。
地球と、僕の、最期の日。もうこの世にはいない君に、想いを告げて、そして宇宙の塵となろう。
君に伝えたいことがあったのに、何年、何十年、何百年も経ってしまった。
「直接、言えなくてごめん」
地球が終わる日になって、今更、「君が好きだ」なんて、100年後なんて来ないけど、「100年後も愛してる」なんて、言えないけど、君のことを忘れたことも、君への想いや気持ちが、色褪せたことはないし、偽ったこともないから。だから、地球や僕が消えても、この想いだけは消えずに、君に届いてほしい。
「こんな弱虫でごめん」
君が酷い人なら、泣いてなかったら、こんな弱虫な僕に優しくなんてなかったら。君のこと忘れられたかな。嫌いになれたかな。こんな苦しい想いなんて、しなくてすんだかな。でも、どんな君も、どの感情や想いも、全部が全部愛おしい。
君が好きだって、愛してるって、手遅れで今更だけど、今なら言える。
「こんな弱虫で、情けなくて、臆病な僕だけど、君のことがずっと好きでした。だからこれからも、君のことをずっと好きでいていいですか」
返事なんて返ってくるはずもなく、ただただ地球が終わる時間が迫ってくる。
僕が最期に目にしたものは、いつか見た夕焼けと君だった。
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