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善の国騎士団団長
決勝の相手は全体会のチャンピオン。
歓声が会場を、町を包む。
相手は何やらこそこそと話をしていた。
ダリアは相変わらず楽しそうに微笑んでいた。
なにか声をかけようと考えたが、間もなくして、試合開始のゴングが鳴った。
両者じりじりと距離を詰めるが、どちらも相手の戦法を伺っているようだった。
ダリアが不意に小声で話しかける。
「僕が攻める。クルスはさっきみたいなフォローをお願い。」
そう言うと、ダリアは一気に駆けだす。
クルスは一瞬焦ったが、すぐに立て直す。
ダリアは1人の足をとる。
それを見た相手はもう1人の方へ。
そこをクルスが狙う。
それが先程までの戦い方だった。
しかし、決勝の相手は、片方の味方が足を取られても、近寄らなかった。
それはなにかに警戒しているようだった。
ダリアは予想外な行動に顔をしかめる。
クルスがその表情を捉え、予想外ということを理解した。
しかし、フォローする側のクルスからしてみればその想定外も想定内なのだ。
もし彼らがクルスとダリアの戦法を分析してきたとしたら、2人まとめての袋叩きはできない。
クルスは方向を変え、ダリアが足を掴んでいる相手の方に行き、2人で1人を攻める戦法と見せかける。
クルスも相手の足をとる。
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