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長い廊下を戻る2人。
相変わらずウティの表情は暗い。
なだめるようにクルスがウティに声をかける。
「いつにも増して辛気臭い顔をしているな。お前らしくないぞ?」
「…うるさい!クルス、この任務がどれほど危険かわかっているのか!?敵国に一人で行くのと同然!それに、もし悪の国の住民だとバレたら、何をされるか分からない。国にまで影響を与える超重要任務だぞ!?」
ウティが涙目で訴える。
クルスが微笑む。
「俺は大丈夫だ。上手くやれる。それに…」
クルスが立ち止まる。
「王は俺を国から追い出したかったんだろう。俺の家系は呪いの…」
「やめろよ!それ以上言うな…」
2人は黙って廊下を歩く。
外に出ると、雲ひとつ無い晴天が、二人を見下ろしていた。
クルスがウティに言う。
「明日早朝に出発だ。善の国に行くと言っても、毎日お前に連絡を取る必要がある。王は手紙ではなく、声での報告を望まれている。不安な時は、相談に乗ってくれよ。」
「…! あ、当たり前だろ!王もなんでわざわざそんな危険な方法を取らせるんだ?」
「王の小さな心遣いだろう。」
「そんなもんか?」
各々の馬に乗り、城を後にした。
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