プロローグ

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まとめておいた荷物を持ち、剣を腰に差し、 儀式が行われる式典場に馬を走らせる。 着いた時には、ウティが正装で待っていた。 クルスが笑いながら言う。 「お前の正装久しぶりに見たぞ。何年ぶりだ?」 「うっさい。お別れの言葉は済んだのか?」 「…ああ。」 魔法陣の真ん中に立つ。 魔法士が儀式の呪文を唱える。 ウティはなにか言おうとして、やめた。 クルスが微笑み言う。 「ウティ。一時の別れだ。また報告時間に会おう。」 ウティは一瞬驚き、屈託のない笑顔で言う。 「ああ、何かあれば相談しろよ。親友!」 その言葉を最後に、目を覚ますと知らない町の路地裏にいた。 周りを見渡し、人がいないか確認をする。 どうやら移動の瞬間は誰にも見られていないようだ。 安堵のため息をつき、鞄の中に入れて置いた地図を開く。 そこには、着地地点の町の地形や店の名が書かれていた。 この町の名前は、「スタアファート」 警戒しながら、まずは町の探索と宿の確保をすることにした。 綺麗な噴水があり、その周りに綺麗な花が咲き乱れていた。 どうやら広場に出たらしい。 しばらく歩いていくと、掲示板のようなものがあった。 善の国も悪の国も言語は同じなので、文字の読み書きに対して何も問題はなかった。 掲示板には何枚もの同じフライヤーが貼られていた。 フライヤーの題名をつぶやく。 「バトルロイヤルコンテスト…」 「なんだいあんた?それを知らんのかい?」 いきなり後ろから声をかけられ、慌てて剣に手をかけてしまった。 急いで後ろで手を組む。 至って冷静を装い答える。 「え、ええ。遠い田舎から来たものですから。」 「…そうかい。」 腰の曲がったおばあさんは、頷き、その場を去ろうとした。 しかし、立ち止まり、クルスの方へ向く。 「あんた、旅のもんか?」 「え、ええ、まぁ…」 「じゃあ、今夜泊まる場所はあるんかえ?」 「えっ?いっ、いえ、まだ。」 「そうかい、なら、うちに泊まりな。」 「は?え!?」 いきなりの提案に驚く。 腰の曲がったおばあさんは溜息をつく。 「うちは宿なんだよ。」 「ああ、なるほど…」 「で、泊まるのかい?」 クルスは少し考えたあと、頷く。 「ぜひ、泊まらせてください。」
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