プロローグ

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腰の曲がったおばあさんについて行くと、オンボロな宿に辿り着いた。 中に入る。 受付のところには、若い女性が一人店番をしていた。 「あら、おかえりなさいおばあちゃん。そちらの方は?」 クルスを不思議そうに見る店員。 戸惑っていると、腰の曲がったおばあさんが説明する。 「今日泊まる客じゃよ。部屋に案内してやりな。」 店員が部屋へ案内する。 古い階段を登りながら、クルスは問う。 「あの…宿代はいくらなんでしょうか?」 「あれ、言われてないんですか?」 クルスは頷く。 店員が一室の前で止まる。 どうやらこの部屋のようだ。 ドアを開けると、必要最低限のものと、穴だらけの天井が見える。 店員が中に入るように促す。 「ウチは3食付きなんです。でも、こんなんだから全然お客さん入ってくれなくて。」 「で、お値段は?」 「あっそうだった!」 店員がパンっと手を叩き、思い出したかのように言う。 店員が計算をしながら、言う。 「1、10…500ドールですね。」 「安!」 普通なら平気で2000を超えるところばかりなのに、3食付きで500は安すぎる。 クルスは疑いの目を向ける。 「…まさかここで幽霊なんて。」 「まぁ、これほど古かったら出るかもしれませんね。」  クルスが震える。 店員は笑って誤魔化す。 「でも、騎士様ならひとひねりでしょ?」 「騎士?」 「ええ、その腰の剣、れっきとした騎士様の証ではありませんか?あれ?騎士様じゃないんですか?」 クルスは剣を触る。 「…いや、俺は騎士だ。」
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