6人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
仮面の下のモリー
進級して、たった二日で学級閉鎖。そんな馬鹿なことがあるかと、誰しも思うだろう。小学校六年生になったばかりの私も当然そう思った。ただ、私も、同じクラスの友達であるスミレちゃんも、“そんなの理不尽だ!”と叫ぶことができないのが実情である。
学級閉鎖なんて酷いとは思うものの、仕方ない理由があるのはわかっているからだ。
進級し、新しいクラスになったその日に――私達のクラスから、死人が出た。
生徒の一人が、殺されたのである。それも、真っ暗な闇の中で。
「早くクラスが元通りにならないかな」
『だよね……学校行きたいよね』
「ねえスミレちゃん」
スミレちゃんは、去年から同じクラスの友達だ。だから一日しか通っていない新クラスで、彼女と一緒になれたのはとても嬉しかったのである。他のクラスメートたちのことはあまりよくわからないが、スミレちゃんのことなら信用できる。きっと、スミレちゃんにとっての私も同じだろう。
だから、それとなく電話で言い出したのである。
「今日うちに来ない?いろいろ話そうよ。……犯人が見つかったら、私達の学級閉鎖もさっさと終わるかもだよ」
その時私は、極めて単純に考えていたのである。
殺した犯人さえクラスから追い出せば、また元通りあの教室で授業ができるはずだ、と。
最初のコメントを投稿しよう!