仮面の下のモリー

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仮面の下のモリー

 進級して、たった二日で学級閉鎖。そんな馬鹿なことがあるかと、誰しも思うだろう。小学校六年生になったばかりの私も当然そう思った。ただ、私も、同じクラスの友達であるスミレちゃんも、“そんなの理不尽だ!”と叫ぶことができないのが実情である。  学級閉鎖なんて酷いとは思うものの、仕方ない理由があるのはわかっているからだ。  進級し、新しいクラスになったその日に――私達のクラスから、死人が出た。  生徒の一人が、殺されたのである。それも、真っ暗な闇の中で。 「早くクラスが元通りにならないかな」 『だよね……学校行きたいよね』 「ねえスミレちゃん」  スミレちゃんは、去年から同じクラスの友達だ。だから一日しか通っていない新クラスで、彼女と一緒になれたのはとても嬉しかったのである。他のクラスメートたちのことはあまりよくわからないが、スミレちゃんのことなら信用できる。きっと、スミレちゃんにとっての私も同じだろう。  だから、それとなく電話で言い出したのである。 「今日うちに来ない?いろいろ話そうよ。……犯人が見つかったら、私達の学級閉鎖もさっさと終わるかもだよ」  その時私は、極めて単純に考えていたのである。  殺した犯人さえクラスから追い出せば、また元通りあの教室で授業ができるはずだ、と。
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