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第17章 夜中
夜。
虫の鳴く声が聞こえる。
ピッ。
エアコンをつけた。
お風呂で逆上せた身体を冷やす為に風量を強風にした。
明日学校に行く準備をした。
明日は半日で学校が終わる。
行きたくないな。
しんどい。
色々な感情を抱えてベッドに潜った。
部屋を真っ暗にした。
身体は疲れてるのに寝れない。
カーテンの隙間から射す月の灯りが眩しい。
月が近くにある。
そっと手を伸ばしてみた。
すると月はさっきまで近くにいたのに、遠くの方にあった。
大切なものは簡単には手に入らない。
何処かのロックスターが言った。
月に手を伸ばせ、たとえ届かなくても。
多分後悔しないように、自分らしく生きろっていうような意味だろう。
幸せは誰かが運んで来てくれる訳じゃない。
自分から探しに行って初めて運んで来てくれるんだ。
私はどんな幸せを求めてるんだろう。
考えれば考えるほど私は真っ暗な闇に取り残された。
出口もない。
光もない。
本当は自分でも分かってる。
健くんと幸せになりたいって事。
だけどそれでいいのかなって思った。
私は健くんのお荷物になる気がして自己嫌悪に陥った。
お荷物なんて事は彼は言わないだろう。
でも、分からない。
なんでこんな感情が起きているのかも分からない。
分からない事が分からない。
いつの間にか眠ってた。
夜中に目が覚めた。
喉が乾いたので水を飲もう。
階段降りて、キッチンに向かう。
蛇口を捻った。
ジャー。
コップに水を入れて飲んだ。
窓の外に目をやると、夜が楽しそうに佇んでいた。
色んな人の今日を包み込むように。
そして色々な人の明日を見守るように。
夜の空に寛大さと包容力を感じた。
ベッドに向かっても寝れない気がして椅子に座る。
古い木の椅子だからミシミシいってる。
星空を見ながらただあてもなく、見えない未来と見えてきた今を考えた。
星の王子さま。
ふとこの前読んだ本を思い出した。
ある1人のパイロットが単独飛行してる時に不時着してから物語が始まる。
そこで星の王子さまと名乗る男の子に会う。
そしてその男の子の話を聞く物語。
私はこの物語に孤独を感じた。
男の子はずっと独りで居たのだろうか?
多分、孤独だったんだと思う。
それが私の今の状態を表してる。
強烈に私とリンクしている。
私も1人じゃないけど、独りなんだ。
真っ暗な闇。
何処に行っても何もない。
真っ直ぐ進んでも、曲がっても。
1寸の光もさしてくれてない。
暗闇でもがかないといけない。
私はふと思った。
夏休みを使って旅をしたい。
それは誰かと一緒に行きたいとかじゃなくて、1人で行きたい。
幸いお金はある。
色々な景色とかを自分の目でみたい。
その旅が終わった後に死にたければ、死ぬだろうし、生きたかったら生きると思う。
そう考えると少し楽になった気がした。
健くんと星空を見て、夏祭りに行ったら、出発しよう。
私の暗闇の中にちょっとだけど、光が見えた。
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