1.結ばれない相手でも

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何となく良い気分のまま、自分の家に向かって歩き始める。 するとその途中、ズボンの後ろポケットに入れていたスマホが振動した。 こんな朝から誰だろうと思い、スマホを取り出し画面を見るとーー。 「あ……」 思わず、小さく声が漏れた。 【圭ちゃん、久しぶり。 紅葉が綺麗になってきたね。 最近は、高校の文化祭の準備が忙しいよ。 圭ちゃんは元気にしてる?】 ーー昔の〝とある知り合い〟からの、何気ないメッセージだった。 【おはよう。 僕の学校も、もうすぐ文化祭だよ。 肌寒い日が続くけど、お互いに身体に気をつけて過ごそう。】 そう返信して、スマホを再びズボンのポケットにしまった。 〝彼〟からのメッセージが届くと、いつも少し暗い気持ちになってしまう。 メッセージを送ってくれた彼には、何の罪も無い。 罪があるのは僕の方だ。 僕は過去に〝消えない過ち〟を、犯しているのだからーー。
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