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何となく良い気分のまま、自分の家に向かって歩き始める。
するとその途中、ズボンの後ろポケットに入れていたスマホが振動した。
こんな朝から誰だろうと思い、スマホを取り出し画面を見るとーー。
「あ……」
思わず、小さく声が漏れた。
【圭ちゃん、久しぶり。
紅葉が綺麗になってきたね。
最近は、高校の文化祭の準備が忙しいよ。
圭ちゃんは元気にしてる?】
ーー昔の〝とある知り合い〟からの、何気ないメッセージだった。
【おはよう。
僕の学校も、もうすぐ文化祭だよ。
肌寒い日が続くけど、お互いに身体に気をつけて過ごそう。】
そう返信して、スマホを再びズボンのポケットにしまった。
〝彼〟からのメッセージが届くと、いつも少し暗い気持ちになってしまう。
メッセージを送ってくれた彼には、何の罪も無い。
罪があるのは僕の方だ。
僕は過去に〝消えない過ち〟を、犯しているのだからーー。
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