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「一晩泊めていただいて、本当にありがとうございました」
玄関先でぺこりと頭を下げ、先生にお礼を伝える。
先生は今日は午後からの講義の予定らしく、昼前にのんびりと大学に向かうと言っている。
僕も一限は入っていないので急ぐ必要はないのだが、とは言えいつまでも居座るのは失礼だと思い、朝一で先生の家を出ることにした。
「どういたしまして。また今度、大学でね」
「またお礼に伺います」
「お礼なんていいよ。気を付けて帰ってね」
「はい。本当にありがとうございました」
もう一度頭を下げてから、ゆっくりと玄関を出た。
扉をきちんと閉めると、まだ朝早いので足音に気をつけながら廊下を歩き、エレベーターに乗って外に出た。
いつもと同じ朝日なのに、妙に眩しく綺麗に感じるのは何でだろう。
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