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ーー…
「それでは、今日の講義の要点をレポートにまとめて来週までに提出してください。提出先はーー」
教授の話を聞き取りながら、レポートに取り掛かれそうな時間を頭の中で考える。
夜はバイトのシフトが入っている日が多いから、今日の昼休みにコンピュータ室に籠ろうかな、と思った。
ーー白藤 圭、十九歳。
大学に通う、ごくごく普通のーーとは少しだけ違うかもしれないがーー、一年生。
ちなみに、人間学部で勉強している。
講義が終わりノートを鞄の中に詰めていると、不意に背後から「白藤君」と名前を呼ばれる。
振り返ると、そこにいたのは友人の佐川 のぞみだった。
本人曰く黒髪ショートヘアがトレードマークの彼女は、小柄で色白、その大きな二重の瞳も相まって一見すると小動物のような雰囲気を持っているのだがーー
「白藤君、今日こそサークルに顔出してもらうわよ!」
彼女はそう言って、僕の肩を力強くグッと掴んだ。小動物どころか、狙った獲物は逃がさんと言わんばかりの大型獣のような目をしている。
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