5.それでも僕はーー

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「光君こそ、どうして? 何で僕のことをそこまで……。君から好きだと言ってもらえるようなことを、僕は何もしてあげられていない」 そう。十年前のあの日、僕は発情をコントロール出来なくて光君に一方的にキスをしてしまった。 酷いことをしたと、今でも思っている。 だから、恨まれることはあっても、好きになってもらう理由なんて無い筈なんだ。 それなのに、光君は何故ここまで僕のことを想ってくれるのだろうか。 すると彼は、たった今まで声を荒げていたのが嘘のように、急に切なそうな顔を見せる。 そしてーー。 「……圭ちゃんを守っていきたいって……あの時、そう思ったんだ」 「え?」 「圭ちゃんにキスされたあの時、当然驚いたよ。でも……嫌じゃなかった。寧ろ、苦しそうな圭ちゃんを見て、俺がこの人を守っていきたいって、本能で思ったんだ。その頃の俺は、二次性別のことなんてまだ何も分かっていなかったのに本能でそんな風に思うなんて…… それってきっと、運命だろ⁉︎」
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