私がなんとかするしかない!

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 リリアーナの突然の宣言に、レティシアは慌てて手帳を取り出した。筆談であれば比較的スムーズにやりとりができることに気づいたため、彼女は最近筆談用の手帳を持ち歩いているのだ。  “それはすごく、難しいわ”  それを読んでリリアーナは「そんなことはありません」と首を横に振った。  レティシアは自分が「悪魔令嬢」と呼ばれていることなど露も知らないのだろう。出会って間もないけれど、彼女はきっと繊細で、優しさを持った人なのだと思う。  だから大切な人形が壊れた時も、あんなに涙を流して悲しめる。  あり得ないくらい人見知りなのに、顔を合わせることのないような使用人へわざわざ感謝を伝えようとする。  そんな彼女が、国中の人々が自分を「悪魔令嬢」と呼んでいるなんて知ったら、ひどく傷つくだろう。  もちろん、身に覚えのない罪を着せられる苦しみは計り知れないものだと思う。しかし彼女にとってなにより辛いのはきっと、今まで彼女が意図せず人を傷つけてきてしまったという事実。  彼女は悪くないけれど、それを知ったら、彼女はきっと深い自分を責めるだろう。罪悪感に押し潰されてしまうだろう。
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