恐怖のお茶会デビュー

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 空は青く晴れ渡り、低木は一層青々と茂っている。よく手入れされた庭園にはアリシア夫人の好きな深紅の薔薇が私を見て! と言わんばかりに咲き誇っていた。  まさに絶好のお茶会日和。芝の上に広げられたティータイム用の机や椅子たちは、控えめながらも細かな装飾が施されている。日除けのパラソルにすら、さりげない金糸の刺繍。家具選びひとつとっても、モンフォルル家の品位の高さが伺える。  色とりどりのお茶菓子を挟んでレティシアのちょうど向かいに座っている向日葵色のドレスのご婦人は、太陽のような笑顔でレティシアに笑いかけた。  「レティシアちゃん、大きくなったわね! うちの子たちがまだまだ子供に見えるわあ」  「ちょっとお母様、やめてよ!」  シャーロットは身体が発光しているのでは?と思うくらいに明るいご婦人だった。髪も目も、太陽の光を吸い込んだような蜂蜜色。背の高いレティシアがいつもより小さく見えるほどにパワフルで、くだけた話し方をするのに不思議と下品な印象は受けない。  隣でシャーロットをいさめているローズピンクのドレスの少女は、彼女の娘のサーシャ。蜂蜜色の髪に結ばれているリボンはドレスと同じローズピンク。シフォンのリボンは彼女が動くたび蝶のようにふわふわと揺れる。レティシアと同い年の15歳だそうだが、レティシアが大人びているからか、少し幼く見えた。
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