人生、終わった。

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 ────あっ。終わった、私の人生。  リリアーナ・フォスターは、身に纏った空色のドレスに負けず劣らず真っ青な顔で立ち尽くしていた。  絶望という言葉は今日のためにあったのかもしれない。無情にも開かれた扉の前に立っていたのはこの部屋の主。天下のモンフォルル家のご令嬢、極悪非道、冷酷無比、誰が呼んだか「悪魔令嬢」ことレティシア・モンフォルル。  彼女もまた、リリアーナと同じく言葉も出ない様子で立ち尽くしている。  ただし、その顔色はリリアーナとは対照的だった。顔面蒼白なリリアーナに対して、レティシアの顔は今にも湯気が出そうなほど真っ赤になっている。猫のようなつり目はより一層吊り上がり、眉間には日頃から刻まれている深い皺。  彼女はどこからどう見ても怒っていた。  その原因は明らかだったが、リリアーナは一縷の望みを捨てていなかった。  もしかしたらなにかの間違いかもしれない。だって恐ろしすぎてちゃんと見ていないから。しっかり確認したらなんともないかも。レティシア様はいつもなにかに怒ってらっしゃるという噂だし、このご様子も私のせいじゃないかもしれない。  自分自身にそう言い聞かせ、淡い希望に縋り付きながらリリアーナは両手で握りしめているものへと視線を落とした。
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