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ドンドンドン!というノックの音。続いてハキハキとした少女の声が聞こえてくる。
「入るわよ」
止める間もなく扉は開かれてしまう。リリアーナは慌ててレティシアの頭にケープをかけて彼女の泣き顔を隠した。
そして許可もなく入室してきた不躾な女は何者なのか、と訝しげに扉の方を見やる。
そこに立っていたのは────サーシャだった。
「これ……あなたのでしょう、レティシア」
彼女が手にしていたのはレティシアの手帳だった。立ち上がった時なにか色々落ちたとは思っていたが、手帳まで落としてきていたなんて。
「あ、ありがとう存じます!」
リリアーナは飛び上がって手帳を受け取った。レティシアは驚いて涙が引っ込んだようで、ケープを被ったまま震えている。
「ねえレティシア……あれ、わざとじゃないんでしょう?」
レティシアがビクリと体を震わせる。サーシャは気まずそうに目を逸らしながら続けた。
「ごめんなさい。見るつもりはなかったんだけど、見えてしまったの。手帳に書いてあったこと」
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