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そこでお母さんたちは気づいた。
このまま歩いていけば、地球を一周してまた半年後にバグダードに戻ってこれるじゃないか。
これはバグダードから見てちょうど地球の裏側、南緯33度西経136度の地点で行われた。
ここは今は何もなくて太平洋のど真ん中だけど、昔はドーダグバ島という小さな島があったんだ。
だからこの出来事はドーダグバ島の再会と言われている。
この言葉は覚えておいてね。どこかの中学校の受験問題に出るかもしれない。
でもそんな問題を出すような中学校には行かない方がマシだけどね。
さて、このドーダグバ島の再会のあと、お母さんたちは決して後ろを振り返らずにまっすぐ歩くようになった。
まっすぐ行けば一年後にはバグダードに着くんだ。
ところがどっこいだよ。
人間というのは悲しいかな、満足を知らない生き物だ。
一つのことを達成すると、またすぐに別の一つのことに挑戦したくなる。
そこでこんなお母さんたちが現れた。
それは、ドーダグバ島でワザと何日か過ごすというものなんだ。
休まずにまっすぐ歩けば一年でバグダードに着くことはわかっている。
じゃあ真ん中で一日休んだらどうだろうということで、ワザと遅らせてスリルを楽しむようになった。
すると一日休んだぐらいでは変化がなかった。少し速足で歩けばいいだけだからね。
でもそうなると、次の年には2日遅らせるようになる。
それでも少し速足で歩けばいいだけということがわかると、またその次の年にはもっと遅らせてみようという気になる。
あのお母さんは3日遅らせたらしいとか、あちらのお母さんは一週間遅らせたとかいう話を聞くたびに、お母さん同士で意地の張り合いが始まる。
だったら私は一月滞在してやろうじゃないの。
でもそうなると手ぶらというわけにはいかない。
長期滞在にはそれなりの装備と物資が必要だ。
うーん、どうしよう。何か持っていけるもので役に立ちそうなものは・・・。
お母さんはバグダード市内を見回した。
すると、さっき言ったよね。バグダードには牛がゴロゴロしていたと。
そうだ、牛を持って行こう。もし万が一、バグダードに戻る前に子どもが産まれても、牛がいれば安心だ。
そこでお母さんたちは牛を担いで旅をすることにした。
当時、牛は神聖な動物とされていたから、牛に乗るなんてことは考えられない。
それにお母さんたちは世界中を歩きまわって体を鍛えているから担ぐのはなんてことはない。牛は歩くのが遅いしね。
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