でたらめ先生のうそつき授業・お母さん編

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ただね、さすがのお母さんたちも、これは少々見込みが甘かった。 牛を担いで旅立ったはいいけれど、いつものようには歩けない。 ドーダグバ島に着く前に、追いかけてきていたお父さんと子どもたちに追いつかれてしまったんだ。 あるお母さんはインドの辺りで追いつかれ、またあるお母さんは日本で追いつかれた。 反対方向に進んだお母さんも、イタリア辺りで追いつかれたり、メキシコらへんで追いつかれたりした。 それぞれに体力の違いがあるからね。 そうしたわけで、誰もドーダグバ島まで行けなかったんだね。 喜んだのはお父さんと子どもだよ。 母を訪ねて何千里かして、ようやく会えたんだから。 でも会えたからって浮かれていると、またお母さんはどこかに行ってしまうかもしれない。 そこで一計を案じた。 囲いを作って、お母さんを中に閉じ込めてしまおうと。 お母さんは牛を担いで歩いてきたものだから、疲れている。 一旦、座り込んでしまうと、もう外には出たくなくなった。 ちょっと、あんた。ぼけっとしてないで、食べ物を持ってきてよ。 そこでお父さんは外で働くようになった。 お母さんは囲いの中から一歩も外に出ず、お父さんが持ってきた食べ物を食べては、牛のように寝るようになった。 だって、のんびりとした牛を見ながら、あくせく働こうなんていう気を起こす人なんていないからね。 そしてこの結果、世のお母さんたちはみんな牛のようになってしまった。 歩くことをやめて食っちゃ寝食っちゃ寝すればそうなるよ。 今でこそ体型に気を使うお母さんたちも多いけど、先生が子どもの頃のお母さんたちはみんな牛みたいだったなぁ。 遠足で牧場に行ったりすると、お母さんと間違えて牛のおっぱいを吸おうとする子どもが続出したっけ。 で、お母さんの体が大きくなったものだから、囲いもだんだんと大きくなった。 それが発達して、家になったんだよ。 こうして家族が一つの家に一緒に住むようになった。 これがファミリーの始まりなんだ。
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