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彼女
「父親を犯すの。手伝ってくれたら、付き合うわ」
教室のカーテン越しの日差しに照らされる彼女は、夏に舞い降りた眩しい天使みたいだ。
「直接手伝わなくていいの。ただ、新田君に相談に乗ってほしいだけ。男を押さえこむには、どれくらい備えればいいか知りたくって」
小首を傾げる彼女の、柔らかい髪がセーラー服の肩を滑り落ちる。
「どうかな」
大きな瞳が俺の返答を待つ。
漂う匂いも、やかましい蝉の声も、汗が止まらない暑さも、どれも生々しすぎるほど現実を訴えるのに、俺は白昼夢を見ている気分だった。
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