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【4】as much as possible
大した趣味なんてない俺だけど、唯一何年も続けてるのがジム通いで。
仕事が忙しい時期は難しいこともあるけど、基本週一ペースで自宅近所のトレーニングジムに行く。
元々そんなにマッチョを目指すつもりなんてなくて。
たまたま近所にできたジムに暇つぶしに行くようになっただけなんだけど。
自分が華奢な体型ってのは昔から実はちょっとだけコンプレックスで。
太んねーからいいやー、なんて開き直って遊んでばっかいたら、ちょっと体調崩してしまったから、これはもう体型がどうこうじゃなく、健康維持の為に必要だろうと。
やり始めたらこれが、結構面白くて。
鍛えたら鍛えただけ、見た目に現れるのが超絶気持ちイイんだよな、コレが。
腹筋なんて、気が付いたらがっつり割れてくれてたし、腕もなんか、ぶら下がったりバーベル持ち上げたりとか、仕事で頭使って変に疲れてる時に、そーゆー何も考えないでやってられるトレーニングしてたら、いつの間にかそこそこイイ感じの細マッチョに仕上がってた。
ま、そーはゆっても、所詮元々の線の細さがあるからぱっと見華奢なのは変わんねーんだけど。
だから、田村とか律みたく、いかにも鍛えて筋肉作ってます、的な体型には正直憧れがあったりすんだよ。
あでも。ちょっと不思議なのが堀さんで。
あの人、なんというか、全然鍛えてる感じないし、本人もそーゆーの好きじゃねえってゆって多分ジムとかも行ってないんだけど、何故か肩とかすげーんだよ。
あれは釣りやってるからなのかな? なんか、とにかく上半身がしなやかっつーか。
基本的に体幹ができてて、そこに必要な筋肉だけ自然についてった、みたいな?
うん、まじすげーって思う。
で、俺の自分的メニューは、まず脚から。マシン使ってスクワット的な動きやって、その後太腿の内側とか、ケツの下側とか鍛えるマシン使って。(筋トレが趣味ってわけじゃねーから、いちいち何筋だとか、知らねーし)
んで、その後はやっぱ胸筋がっつり行きたいんだよ。胸板厚いのって、やっぱイイよな。
背中はなんか、ロープ引っ張るマシン頑張って、最終的にはアブドミナルっつーの? 腹はともかく、横の方を今重点的にやってるんだよな。捻るヤツ。
そーやって筋トレやったら、あとはひたすら走る。ノリのいい洋楽なんか聴いてひたすらランとウォーキングを交互にやってたら、あっという間に半日終わってしまうから、後はシャワー浴びて完了。
そんな休日を過ごすのも、まあ独り身だから自由にできるわけだけど。
ジムを出て帰宅してる途中、堀さんから着信があった。
「お疲れー、志麻ちゃん今日休みだっけ?」
まあ、スマホだし。名を名乗る必要なんてないから。当たり前に喋り出す堀に。
「うん、休み」短く答えた。
「えーっと、夕方っつーか夜、時間ある?」
「接待?」
「や、俺が個人的に志麻ちゃんと呑みたいだけ」
「いいよ。店と時間、指定してくれたら行く」
短いやり取りで、切れる。
堀さんが気まぐれで誘ってくる時ってのは、基本的に仕事が絡むから。接待というか、堀さんの個人的な繋がりがある人間を紹介してくれるってのがいつものパターンだけど。
それを否定したってことは、今日はほんとにプライベートな話なんだろうと思う。
実際後から送られて来た店は、堀さんがいつも完全に一人で通ってるバーだったし。
てか、メシはないんかい!
ほんとに話がしたいだけなんだろーな。
とりあえず、指定された店の近くで軽く腹ごしらえだけして堀さんの元へと向かった。
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