【7】Sparkle

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 そうやって律と暫く昔の二人のばか話なんてして。 「ところで、最近どーよ?」  過去じゃなくて、近況も。と思って促す。 「最近? あー……ちょっと、料理にハマって来てるかな」 「田村に続いておまえもか。堀さんの影響、すげー受けてんなー」 「いやいや。そんな、本格的じゃねーし」 「てか、律のことだから材料重視じゃね?」 「そりゃまあ、できるだけ無農薬とか、旬の野菜とかは、取り入れてるつもりだけど?」 「出た! 律、前は水にこだわってたよなー?」 「水は今も気にしてるよ。だって人間の体ってその殆どが水でできてんだしさ」  律が常に常温のなんとかってゆー水を持ち歩いてるのは知ってたけど、やっぱ料理に関してもそーゆー健康志向なわけね。 「で、それは彼女に食べさせてんの?」 「いや、最近はかぐちゃん、かな」 「え?」 「ほら。あいつ、ほっそいじゃん? 栄養採らせないとなんか、ぶっ倒れんじゃねーかなーって思って」 「なんだよもー。田村とおんなじことゆってんな」 「うん。かぐちゃんが田村はもはやおかーさん、つってた」 「わかるわかる。あでも、最近あんまし田村んちにも来てないっぽかったぜ?」 「そーなん?」 「なんか、タイミング合わないって。ほら、あいつ彼女いんじゃん? そっちで忙しいんかなーと」 「ふーん」  なんか、ほんとかぐちゃんは愛されキャラだよなーと。  田村にしろ、律にしろ。まあ、当然堀さんもだけど。  庇護欲を掻き立てられるみたいで、とにかく甘やかさずにはいられなくなる。  俺だって、あんな可愛い顔で“志麻さん、好き”なんて言われたら、そりゃードキっとするしさ。  料理にハマったらそりゃ、食わせたくなるよな。  律が、いかにかぐちゃんの好き嫌いを克服させるか、ってのを懇々と話してて。  またそれが、可愛くてしょーがないってのが溢れてるから、こっちも幸せになる。  田村も、ほんとのトコ、それを結構気にしてたから。  俺がいるから田村んちに来てないみたいだし。ほら、かぐちゃんはああ見て凄い気を遣うコだから。  ま、彼女んちに行くのに忙しいってのもあるだろうけど。  でも、田村の代わりに律が栄養補給させてんなら、それはそれで安心かな。 「さて、と。そろそろ終電だし、帰るかね」  一通りくっちゃべって、いい感じに律の近況なんかも聞けたし。何より、那須戸波に関して、律には何も問題ないってことがわかったから。 「志麻さん」 「ん?」 「今度また、ゆっくり話す時間、貰っていいかな?」  律が、ちょっと含みのある言い方をして。 「そりゃ、全然」 「じゃ。また都合ついたらラインします」 「ほいほい。じゃ、また」  何だろう。律は律で、堀さんともまた違う方向に人間関係広いから、当然いろいろ悩んでることとかだって、あるんだろうな。と、思う。  それ、俺が話を聞くことでラクになれんだったら、ま、そんなことくらいしかできねーけど、それくらいお安い御用ってヤツだ。  店からは徒歩で帰る律に手を振って、俺は駅へと向かった。
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