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「で?どうするの?」
「離婚する!」
「ちょっと待って、綾菜、まだ完璧な証拠はないから、早まっちゃダメだよ」
「証拠ならLINEがあるじゃん?ちゃんとスクショしといたよ私」
「LINEなんて、ふざけてやり取りしましたって片付けられたら終わりだよ?もっとちゃんとした…たとえばホテルに入ったとか、彼女のためにお金を注ぎ込んでるとかの証拠、LINE以外の確実な」
ふむふむと、考えている。
「確実な証拠か。そうか、それがないと慰謝料とか取れないよね?てか、お母さん、詳しいじゃん、相談してよかった」
「ちゃんとしたことは専門家じゃないとわからないけど。でもしっかり考えるんだよ、翔太もいるんだし、あんたは専業主婦なんだからね、生活のこともあるよ」
「わかってるつもり。でも喧嘩しながら夫婦でいるよりマシかなと思ってる。今すぐとは言わないけどね。そうなったら出戻りでここに来るから、その時はよろしくね」
「まぁ、そうなったら仕方ないけどね」
答えながら、ふと考えた。
娘が出戻ってくるとしたらこの家しかない、ということは、私はこのままここにいるしかないということだ。
「あれ?そういえばあの人は?仕事だっけ?」
綾菜はお父さんとは呼ばない。血がつながらないから仕方ないと思ってる。
「なんかね、長期の出張なんだって、今日から半年」
「そうなの?じゃあ、お母さん、羽を伸ばせるね!自由じゃん?」
外でしてきてもいいくらい自由の身なんだよと言いたくなったけど。
「まぁね」
とだけ返事した。
「そろそろ仕事に行く準備するから、ここにいるならいてもいいよ」
「うん、あの人もいないなら泊まってく」
じゃあ、ご馳走を作らないとね!と少しだけ楽しい気分になった。
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