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で、朝。
母の手助けがないからいつにも増してギリギリにゴミ袋を抱えて家を出て、それを置いて走り出そうとしたら声を掛けられた。
「おい」
思わず振り返ったら、まともに顔を見てしまった。
後藤仁。
隣の家の同級生。もう結婚してて昨日痴話喧嘩してた男。
相変わらず機嫌悪そう。てか小学生の頃から全然変わってない感じ。
こいつ童顔だったんだな。年下に見える。
「電池は回収ボックス。燃えないゴミの袋に入れんな」
「そ、そうなんだ、回収ボックスって――」
「家電量販店とかにあるだろ」
説明しながら袋を開いて電池を取り出すと、後藤は袋と電池を私に突き返しながら言った。
「出先で回収ボックス探して捨てたらいい」
なるほど、了解。
で、アンタがゴミ出すのはいつものことなの?
それとも彼女まだ怒ってんの?
なんて聞いてる暇も聞く勇気もないから黙って後藤を見送って、駅に向かって走り出した。
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