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そして独りでシャワー浴びて出るまでは良かったけど、服を着るのに手間取って、結局日菜ちゃんに手伝って貰った。
「ありがとう」
「いえいえ、好きでやってるんで」
ちゃんと拭けてなかった足から雫を拭いながら、私を見上げてニッコリ笑う。
あーヤバい、可憐過ぎる、ギュッてしたい!
「食事はしました?」
「うん、会社の近くで済ませてきた。あのだからもう――」
「私、ここにいちゃダメですか?」
!!! 日菜ちゃんの方からギュッてしてきたー!
「ご、後藤くんと喧嘩でもした?」
「喧嘩なんて出来ませんよ。私達、喧嘩する程仲良しじゃないです」
「じゃあ……何か言われた? 実は今朝、日菜ちゃんが高校の単位取るのわざと遅らせてるみたいだって聞いたんだけど……」
「そうですよ。だって卒業したら離婚して出て行かなきゃならないんです」
「日菜ちゃんは出て行きたくないの?」
「はい。だって無理ですよ、独りで生きて行くなんて。波美さん、仁に追い出されたら一緒に暮らしてくれませんか?」
えっ、それは……一生?
「ダメですか?」
わわっ、日菜ちゃんの顔が迫ってくる。
可愛い。すっごく可愛い、でも――
「桜川陽……さんはもういいの?」
彼の名前を聞いた日菜ちゃんは、ビクッとして顔を遠ざけた。
「いいも何も、彼とは終わりました。例えまだお互い好きだったとしても彼はアイドルで私は既婚者です。入籍してるだけで夫婦じゃないって言っても信じて貰えないし、不倫報道なんてされたら今度こそ彼もお終いです」
ああ……確かに。ん?
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