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誰か玄関のドア開けようとしてる?
「後藤くんかな」
「勝手に入って来ます? それに玄関の鍵は閉めたはずです」
だよねって顔を見合わせた時にドアが開いた音がした!
「波美さ……」
「シー、電気消して!」
私達がいるのは父が使っていた1階の一番奥の部屋。ここで大人しくしていれば、すぐには見つからないはず。
足音が玄関からリビングへ。何か荷物を置いた音が聞こえた。
そして間もなくテレビの音が聞こえてくると、日菜ちゃんが耳元で囁いた。
「勝手にテレビつけるなんて図々しい泥棒さんですね」
「物色する物音を消す為かも。でもこっちの音も聞こえにくいはずよ。日菜ちゃん、そこの窓から出られる?」
「やってみます」
普通に泥棒なのか、それとも桜川陽の仲間か。
どっちにしても日菜ちゃんは逃がさなきゃ。でも薄明かりの中で日菜ちゃんが窓によじ登ろうとした時、足場にした棚から何かが転がり落ちた。
やばい、足音が迫って来る!
「誰かいるの?」
ドアが開かれて電気がついた。そこに見えたのは――
「お母さん!?」
「波美、こんな部屋で何して……え、そちらのお嬢さんは――」
「お、お邪魔してます、隣の後藤です」
「ああ、お隣の……で、こんな暗い部屋で何を……あなた達まさか……」
私はパジャマ姿でベッドの上。
そりゃ誤解っていうか、まあ実際ちょっとそういう雰囲気だったけど、そんなこと母親には絶対言えない!
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