6.ここにいちゃダメですか

28/34
前へ
/293ページ
次へ
誰か玄関のドア開けようとしてる? 「後藤くんかな」 「勝手に入って来ます? それに玄関の鍵は閉めたはずです」 だよねって顔を見合わせた時にドアが開いた音がした! 「波美さ……」 「シー、電気消して!」 私達がいるのは父が使っていた1階の一番奥の部屋。ここで大人しくしていれば、すぐには見つからないはず。 足音が玄関からリビングへ。何か荷物を置いた音が聞こえた。 そして間もなくテレビの音が聞こえてくると、日菜ちゃんが耳元で囁いた。 「勝手にテレビつけるなんて図々しい泥棒さんですね」 「物色する物音を消す為かも。でもこっちの音も聞こえにくいはずよ。日菜ちゃん、そこの窓から出られる?」 「やってみます」 普通に泥棒なのか、それとも桜川陽の仲間か。 どっちにしても日菜ちゃんは逃がさなきゃ。でも薄明かりの中で日菜ちゃんが窓によじ登ろうとした時、足場にした棚から何かが転がり落ちた。 やばい、足音が迫って来る! 「誰かいるの?」 ドアが開かれて電気がついた。そこに見えたのは―― 「お母さん!?」 「波美、こんな部屋で何して……え、そちらのお嬢さんは――」 「お、お邪魔してます、隣の後藤です」 「ああ、お隣の……で、こんな暗い部屋で何を……あなた達まさか……」 私はパジャマ姿でベッドの上。 そりゃ誤解っていうか、まあ実際ちょっとそういう雰囲気だったけど、そんなこと母親には絶対言えない!
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加