6.ここにいちゃダメですか

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「違う違う、あのね――」 慌てて日菜ちゃんがここにいる理由を説明すると、母に笑われた。 「まあ、それはお世話になりました」 「いえ、こちらこそ波美さんにはお世話になってます」 そうなのって顔で母が私を見た。 「や……お世話っていうかあの……普通に仲良くご近所づきあいを……」 「へー。今時珍しいわね。ねえ、こっちに来てお土産食べない?」 いやー、すっかり忘れてた。 私、一時的に独り暮らしなだけで、母親と一緒に暮らしてたんだった。 母、忘れてごめん。それにしても―― 「急に帰って来るなんて驚いたよ」 「急にって、メッセージ送ったわよ? リビングも波美の部屋も電気消えてるから、てっきりまだ帰って来てないんだと思ってた。私の方がびっくりよ」 「すみません……」 「ああ、後藤さんは謝らなくていいのよ。母親が帰るって連絡しても気付かないなんて薄情な娘でしょ。でも安心したわ。私がいなくても全然問題ないみたいね」 はい。案外平気でした。 「お婆ちゃん、治ったの?」 「うん、それはもう大分いいんだけど……ま、その話は後でね」 すると日菜ちゃんは椅子に座らず荷物を持った。 「お母さんがいらっしゃるなら安心だから、私もう帰ります」 「あらゆっくり……ああでも確かにもう遅いわね。すみませんね、こんな時間まで。これ、良かったら持って行って」 「わー綺麗なお菓子ですね、ありがとうございます。じゃあ波美さん、おやすみなさい」
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