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「あ、うん、ごめんね、本当にありがとう」
私の代わりに母が玄関の外までついて行って、日菜ちゃんが無事隣の家に帰るのを見届けてくれた。そして戻ってくると、マジマジと私を見詰めて言った。
「本当に驚いたわ。私、自分の娘を過小評価してたのかしらね」
え、どういうことって顔したら、髪に触れられた。
「急に綺麗になっちゃって。しかも部屋も片付いてる」
「か、髪切っただけだし、部屋は……帰って寝るだけだし……」
「でもホコリ溜まってないじゃない。あ、彼女に掃除して貰ったの?」
そうですって顔で苦笑いしたら、母に笑われた。
「それはそれで凄いわ。隣の奥さんとそんなに仲良くなれるなんて」
ええ、私自身びっくりです。
「あなたとっくに親離れしてたのね。私がいるから30過ぎても結婚するどころか男の気配もなくボーッと生きてるのかと思ってた。もう本当に私がいなくなっても大丈夫ね」
え?
「地元の友達が脱サラして近所でお店開いてたからちょっと手伝ってたら、本気で一緒にお店やらないかって誘われちゃって。やってもいいかしら?」
「共同経営者になるってこと? それってお金目的だったり……」
「それは大丈夫。とりあえず私は雇われる形よ」
そうなんだ。お金じゃないとすると――
「友達って……男の人?」
「女よ。やだ、再婚とか心配してる?」
「心配っていうか別にそれならそれでいいけど、その――」
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