7. そんなにあの子が大事なのか

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でも家出はやり過ぎかって考え直して、結局日菜ちゃんは後藤と話してしばらくの間ウチの母の実家で過ごすことになった。場所は鎌倉だ。ゴミ出しで顔を合わせた後藤は、心なしかいつもより肩が落ちているように見えた。 「まあそんなに遠くないし、近所に若い人いないから心配いらないと思うよ。あ、写真見る? ウチの母親から――」 「俺にも届いてる」 連絡先交換したのね。そりゃそうか。 「今日は一条の祖父ちゃん祖母ちゃんとお寺巡りに行くみたいだな」 「ええ。すっかり日菜ちゃんのお世話になっちゃってるみたいでご免ね」 「俺に謝られても……楽しそうだし、いいんじゃないか?」 本当は心配でたまらないんじゃないの? 「私もしばらく祖父母に会ってないし、帰りは迎えに行くよ」 「腰はもう大丈夫なのか?」 「ええ、お陰様で。後藤くんも一緒に行く?」 「休み合わないだろ」 ああ、そうだった。 「よろしく頼むよ」 去って行く後ろ姿がいつもより小さく見えて、危うく手を伸ばしかけた。放っておいてくれってオーラ全開なのに、強引に慰めたくなる寂しそうな背中。 ま、そんな時間ないし、普通にそれぞれ自宅に戻ったけど。 その後もいつも通り出勤して、仕事を終えて帰りの電車で携帯見たら、母から何度か着信してた。 電話は珍しいな。嫌な予感。
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