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でもマンションに着いて呼び出してみたら、応答はなかった。
いないの?
居留守?
どうしよう。ここで待ってたら不審者だよね。
そうだ、とりあえず食事しようって近くのカフェに入ったら、イケメンと目が合った。
「また会ったね。運命で結ばれてるのかな」
夏目涼。会いたくなかったけど、使えるかも。
「私、あの2人に会いに来たんです。でも応答ありませんでした。仕事でしょうか?」
「は? 知るかよ」
別の男の話がまずかったのか、それともアンタは仕事ないのって嫌味に聞こえちゃったのか、背を向けて席に戻っちゃった。彼も1人みたい。でも席はカウンターじゃなくて、目の前に1つ空いている。
ごめん、怒ったって媚び売りながら座ってみようかと考えている間に、後から入って来た女性客2人が彼に話しかけてしまったので、私は観察出来る席を選んで座った。
嘘みたいに優しい笑顔。丁寧に写真断って握手して……え、バッグにサインするの? しかもボールペンで? また握手してバイバイして彼女達は大人しく別の席へ。
終止丁寧でにこやかな応対。私とは大違い。
ファンは大事にするってこと?
それとも私よりずっと若そうな女の子だから?
あー、彼女達が見てるからもう彼と相席は無理だな。
諦めて1人で食事をしていたら、先に食事を終えた彼が立ち上がった。
どうしよう、ファンを装って話しかける?
痛いファン装って追いかける?
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