7. そんなにあの子が大事なのか

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「俺、この前半年ぶりだったんだよ。半年もしないで、よく生きてられたって感心しちゃうだろ?」 たった半年でそんなに大騒ぎ? 私は11年ぶりだったって言ってやろうかしら。でも男と女じゃ違うのかな。 「半年なんて珍しくないでしょ。友達の夫婦、もう3年近くレスだって言ってたよ」 「それ夫婦でやってないだけで、絶対浮気してるだろ」 「まさか。凄く真面目な人達よ?」 「真面目だって性欲はあるだろ」 後藤が浮気? でも形だけの結婚だってあれだけハッキリ言うってことは、恋人は別にいる――いや、ないわ。恋人いたら、日菜ちゃんを助けたくても流石に入籍はしないでしょ。 「セックスって、そんなにしたい?」 「したい! 女はどうだか知らないけど、男はしなきゃ生きて行けないよ」 「でも彼女いない歴イコール年齢って男も立派に生きてるじゃない」 「そりゃ知らないからだろ? 知ったらもう無理だって。酒の味を覚えたらもう飲まずにいられないのと同じ」 お酒はそんなに好きじゃないから全然ピンと来ないって顔したら、夏目涼は引き出しから綺麗な箱を取り出した。 「チョコレートは好き?」 開いた箱から甘い香り。思わず覗き込んだら随分変わった形のチョコだった。 「うわっ、猟奇的ね」 「芸術的って言ってよ」 女性の体を切り分けた形のチョコレート。胸部に臀部、そしてヒールを履いた足。夏目涼は足の形のチョコをつまみ上げて自分の口に放り込んだ。 「貰ったんだけど、入手困難なチョコらしよ。うん、美味い」 食べながら喋るなって。チョコは大好き。あー唾液が…… 「どうぞ」 って差し出されたけど、ヤバい薬とか入ってない?
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