7. そんなにあの子が大事なのか

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「食べないなら全部食べちまうぞ」 って夏目涼がまたチョコを掴み上げると、思わずあっと口を開いてしまった。 「嘘、あげる」 口の中にチョコレート。臀部の形のやつ。うーん、甘くて滑らかなお尻。ダメだ、勿体なくて吐き出せない。口の中で転がしていたら、先に食べ終えた彼が言った。 「美味しいだろ? チョコレート一生食べられないって言われたらどう? 滅茶苦茶悲しくない? 目の前にあるのに食べられなかったらどう? 滅茶苦茶辛くない?」 それが男にとっての女……って言いたいの? 「あれからずっと君のこと考えてた。またしたくて気が狂いそうだった」 え……何その顔。 そんな子犬みたいな顔したって騙されな…… あれ? 逃げられない。体に力が入らない。 チョコレートの香りがする夏目涼の唇と指先が私をソファに釘付けていく。 ダメだ、また生け贄になる…… 「ああ、やっぱり気持ち良い。俺達相性いいと思わない?」 知らないよ。比較対象1人でしかも遠い過去なんだから。 でもなんだろう。 この前よりは……気持ちい……良くない! いいわけない! だってこれ、愛じゃないでしょ? 愛じゃないのに気持ち良いなんて―― あっ……あ、でも……ん…… 「好きだよ、波美」 行為の最中の甘い言葉は真に受けちゃいけなかったはず。 でも私の名前知ってるんだ。冬真くんが教えたのかな。わざわざ聞いて覚えててくれたのはちょっと嬉しいかも。
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