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でもその日、母の方から電話が掛かってきたので聞いてみた。
『言ったじゃない、田舎に移住したって。アンタに話したらフーンって言ってたけど、全然聞いてなかったのね』
うん、聞いてなかったね。
「結婚したのってその後?」
『どうだったかしら……ちゃんと2人で挨拶に来てくれたわよ。すごーく可愛いお嬢さんと。その話をした時にも、アンタはフーンって言ってたわ』
でもそれは覚えてる。へーもう結婚したんだって思った。
『で、アンタはどうなの? 連れ込む男見つかった?』
「いない。じゃ、おやすみ」
余計なお世話だよ。
タイプの男が私に興味持ってくれるなんて奇跡だし、タイプじゃない男なんて鬱陶しいだけ。理想が高いって言われても、無理して妥協する意味がわからない。
私のタイプは、可愛い男だ。
例えば奇跡の31歳――ああ、推しの笑顔が脳裏に浮かんではじけて消えた。
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