7. そんなにあの子が大事なのか

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「連絡待つ間にもう1回――」 「あ、ねえ、これ逆に利用出来ないかしら」 何か仕組まれたに違いない携帯。カバンから取り出してみたら通知が来ていた。 「ああ、それさっき鳴ってたよ」 母からだ。 『日菜ちゃん、帰って来たわ。お騒がせしました』 えー嘘でしょ、私何の為に体張ったの!? まあでも良かった、日菜ちゃん無事で。 「もういいわ、見つかった」 溜息ついたら肩を抱いて顔を覗き込まれた。 「そんなにあの子が大事なのか? 彼女とどんな関係?」 「聞かないってこの前約束したよね」 「つまり言えない関係ってこと?」 「そうかもね」 逆に顔を覗き込んでやったら、ちょっとびっくりした顔になった。 勝手に誤解したらいいよ。レズでもバイでもご自由に。 そのまま出て行こうとしたら、声掛けられた。 「なあ、もっと自分大事にしなよ」 は? アンタがそれ言う? 「またいつでも会いに来てよ。見ての通り、俺暇だからさ」 ……え? 危ない、また子犬の顔してる。 私がそういうのに弱いって見抜いてるに違いない。 だけど、ダメ。 この人、芸能人。 この前テレビ出てたし、さっきもファンに見つかってたし、本当はそこそこ売れてるんでしょ? うっかり付き合ってもすぐ捨てられるか、独身のままアラフォーに突入するかどっちかだ。
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