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「まあ落ち着いて。こんな所で喧嘩したらまた写真撮られちゃうよ」
「また?」
「気付いてないの?」
差し出された画面に、桜川陽と私のツーショット!
ドルオタくんから助けて貰った時に撮られてたみたい。皆固まってるように見えたけど、そうじゃなかった。
「え、じゃあさっきの子達……」
「他にも見てる人いるかもしれないし、移動してから話そうよ」
手を繋がれた。
小顔で可愛いから小さく見えるけど、並んだら少し私より背高い。握った手も意外と骨張ってる。
つまり日菜ちゃんとは違う。
この子は美少女ではなく、美少年だ。
そう気付いたら触れられた肌が急に敏感になった。
そして彼は私を高級ホテルのラウンジに連れて行った。
「ここなら下品な奴は来ないから安心でしょ」
きちんとした身なりの大人しかいない。そして目の前には黒いロングヘアのウィッグをつけて黒いワンピースを着た冬真くん。
「出掛ける時、いつもそういう恰好してるの?」
「いつもじゃないけど、綺麗だったり可愛いお店に行く時にはこういう恰好してる。その方が目立たないし入りやすいもん。ファンに見つかって追い回されたり、知らない女から性的な興味で眺められることもないし」
目立ってはいるけどね。あっちのカップルの彼氏さん、こっち見てるよ。
「でも男の人に声掛けられたりしないの?」
「そういう奴は適当に利用してやるんだ。面白いよ」
「えー、止めなよ、危ないよ!」
そう忠告したら冬真くんに笑われた。
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