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「危ないのはそっちでしょ」
そうだった!
「ねえさっきの写真ってどれ位拡散されてるの?」
「こっちで削除したから今は検索しても出てこないと思うけど、既に保存した奴等がばらまくかもしれないし、注意した方がいいよ」
「そう言われても……彼はどうして人目のある場所で誤解を招くようなこと――」
「わざとかもね」
「わざと?」
「記者を呼び寄せて話したいことがあるとか……まあ、とりあえず食事を楽しもう」
冬真くんが注文してくれた料理が届いた。綺麗な盛り付け。上品な味。食べ終えたら話を再開出来ると思ったけれど、冬真くんは言った。
「続きは部屋で話そうよ」
「え、マンション行くの?」
「違うよ、この上。マンションに出入りする所撮られたらマズイでしょ」
ホテルの部屋に移動すると冬真くんはウィッグを外し、出てきた白い頭をブンブン振った。
「あー女の子疲れたー。先にシャワー浴びさせて」
バスルームに直行する冬真くん。
つまり泊まるってこと? まあ休憩なんてないだろうし、泊まらなきゃ勿体ないか。
待ってる間に恐る恐るネットを調べてみたら、書き込みが見つかった。
『桜川陽、一般男性から彼女を略奪か?』
嘘と憶測だらけの元記事は既に削除されたみたいだけれど、まだネタにされてる。
『顔見たけどそんなに美人でもなかった』
『普通にオバサンだった』
これってさっきの子達が書いたのかしら。それともあの時周りにいた人? おっ、でも普通に綺麗な人だったって書いてくれてる人もいる。
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