9.無理しなくていい

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というか自信がなくて聞けない。 夏目涼を好きになるとか、まして愛するとかハードルが高すぎる。 芸能人の彼の唯一かけがえのない存在になるなんて、そんな覚悟出来ない。 と言ってハッキリお断りする勇気もないから曖昧のままでいたい。 ああ、ダメだ。 私はなんてダメでズルイ人間なんだろう。 会社の女性達に嫌われて当然だ。 いじめられて当然の、最低な女だ。 『まあ僕は波美さんは涼さんの彼女だって思っておくよ。もう2度と睡眠導入剤代わりになんてしないから安心して』 睡眠導入剤だったんだ、私。 「冬真くんあの……偉そうなこと言うようだけどその……女の子の方が誤解するかもしれないから、愛のない関係はほどほどにね?」 『大丈夫。僕そういうの敏感だから、セックスに意味を求める相手は抱かない。怖いもん。じゃ、お休み』 「お、お休みなさい」 あー恥ずかしい、恋愛初心者が上級者に説教してしまった。 でもそうか、私はセックスに意味を求めない女に見えたのか。 意味っていうか価値を置いてないのかも。 冬真くんも、私も。 そして軽んじ過ぎた結果、その本来の目的を忘れていた。
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