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落ち着け、まだ決まったわけじゃない。
単に体調が悪いだけかもしれないし、まずは妊娠検査だ。
自分には縁がないと思っていたスティックを求めて薬局へ。
99パーセント以上の正確さで検出って書いてある。
つまりこれで陽性になったらほぼ確定ってことだ。
怖い、怖い、怖い!
手を出せずにいたら、店員さんに声を掛けられた。
「検査薬をお求めですか? 予定日から1週間以上経っていればどれでもお使いいただけます。それ以前でしたらフライング検査が出来るタイプになります」
「フライング……?」
「はい、早期妊娠検査薬です」
笑顔でハッキリ言われてしまった。ああ、普通に妊娠を望んでいる主婦に見えるんだろうなって思わず目を逸らしたら、そこに別の目があった。
ボックスティッシュを手にした――後藤!
「えっとあの、普通ので大丈夫です」
急いで会計して外に出たら、つかず離れずついてくる足音が聞こえて来た。思い切ってふり返ったら、後藤が歩み寄ってきて囁いた。
「大丈夫か?」
聞かれたから思わず答えてしまった。
「大丈夫じゃなかったらどうにかしれくれる?」
何言ってるの、私!?
そりゃ後藤は偶然会った日菜ちゃんを助けてなんの見返りも求めなかったけど、あれは自分が加害者になりかけたからだ。私が望まない妊娠をしていたとして、それは後藤とは何の関係もない。
それなのに後藤は言った。
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