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そして翌日いつも通り出勤した。
おはようございますって挨拶しても、女性社員は目を合わせてくれない。それだけで、どっと疲れてしまう。思った以上に体にダメージ受けてるみたいだし、これはもう転職するしかないかなと考えながら仕事していたら、受付から連絡があった。
『お客様がお見えですけど――え、あの、ちょっ――ああ、別の担当者が案内するようです。よろしくお願いします』
お客様? アポなんてないし、一体誰?
まさか嫌がらせメールをしつこく送ってくる張本人!?
逃げるべきかと身構えていたら、その人はドルオタくんにエスコートされてやって来た。
「失礼します。お仕事お疲れ様です」
可愛らしい声がフロアに響き渡り、多くの社員が一瞬で魅了された。
「日菜ちゃん!?」
私と目が合うとニッコリ笑って手を振ったけれど、彼女はすぐにドルオタくんに視線を戻して尋ねた。
「えーっと、じゃあまず部長さんからですかね?」
「そうですね。こちらになります」
大きな紙袋を手にしたドルオタくんが日菜ちゃんを連れて部長の席へ。
「お仕事中に失礼します。一条波美さんの友人で、森山日菜と申します。近くに来ましたので挨拶に寄らせていただきました。どうぞこちらお召し上がりください」
えええー、大丈夫? 部長怒って――ないね、全然怒ってない。笑顔とろけちゃってる。
「それはどうもご丁寧に。どうぞゆっくりして行って下さい。誰か彼女にお茶を――」
「はい、私が!」
慌てて立ち上がったたら動揺して転びそうになって、田中さんに支えられた。
「私も手伝うわ。全員分入れましょう」
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