9.無理しなくていい

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素っ気なく答えて後藤は魚売り場へ。 これ以上つきまとうなって背中から読み取った私は肉売り場へ。 おー、牛肉が特売じゃん。ホットプレートで焼くだけなら私にも出来るよね。うーんでもこれ大きなパックしかないし、買ったら明日も1人焼肉――あ! 魚を見てはいるけどまだ手に取ってはいない後藤を発見して直行。そして勇気を出して尋ねた。 「ねえ、後藤くんって肉は嫌い?」 「いや、普通に好きだけど……」 「今日牛肉安いよ。でも大きなパックしかないから、良かったら分けない?」 「ああ……」 曖昧に答えて後藤は肉売り場へ。 ちょっとドキドキしながら私は後を追った。 「この焼肉セット?」 いくつかの部位が組み合わされたお得なセットを指さして、後藤は私に尋ねた。 「うん、それ半分こしない?」 「わかった」 ってパックに手を伸ばしたから、私が先にカゴに入れた。 「あー、あの鯛のお返しに私が買うよ」 「え、でもこっちの方が高いよ」 「いいってそんな細かいこと。気に掛けて食事に誘ってくれたの嬉しかったし、お礼させてよ」 「はあ……」 うーん、なんだこの微妙な空気。後藤、やっぱりあんまり肉好きじゃないのかな。 「あ、いや、だから肉じゃなくてもいいよ。魚は何かいいのあった?」 「今日はあんまり……わかった、その肉半分貰うよ。野菜はあるのか?」 「えーっと、キャベツならあるよ」 「ウチには玉葱と人参がある。シイタケもあるけど好き?」
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