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素っ気なく答えて後藤は魚売り場へ。
これ以上つきまとうなって背中から読み取った私は肉売り場へ。
おー、牛肉が特売じゃん。ホットプレートで焼くだけなら私にも出来るよね。うーんでもこれ大きなパックしかないし、買ったら明日も1人焼肉――あ!
魚を見てはいるけどまだ手に取ってはいない後藤を発見して直行。そして勇気を出して尋ねた。
「ねえ、後藤くんって肉は嫌い?」
「いや、普通に好きだけど……」
「今日牛肉安いよ。でも大きなパックしかないから、良かったら分けない?」
「ああ……」
曖昧に答えて後藤は肉売り場へ。
ちょっとドキドキしながら私は後を追った。
「この焼肉セット?」
いくつかの部位が組み合わされたお得なセットを指さして、後藤は私に尋ねた。
「うん、それ半分こしない?」
「わかった」
ってパックに手を伸ばしたから、私が先にカゴに入れた。
「あー、あの鯛のお返しに私が買うよ」
「え、でもこっちの方が高いよ」
「いいってそんな細かいこと。気に掛けて食事に誘ってくれたの嬉しかったし、お礼させてよ」
「はあ……」
うーん、なんだこの微妙な空気。後藤、やっぱりあんまり肉好きじゃないのかな。
「あ、いや、だから肉じゃなくてもいいよ。魚は何かいいのあった?」
「今日はあんまり……わかった、その肉半分貰うよ。野菜はあるのか?」
「えーっと、キャベツならあるよ」
「ウチには玉葱と人参がある。シイタケもあるけど好き?」
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