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「うん、好きだよ」
「じゃあ野菜はそれでいいか。焼肉のたれは俺が作るよ」
おー頼もしい。
「じゃあ後で」
ご自由にどうぞと書かれた箱の中から取り出した牛脂を私のカゴの中に入れて、後藤は行ってしまった。私も急いで買い物を済ませて家に帰って、散らかっていた物を奥の部屋に放り込んで、ホットプレートを出してお皿並べてキャベツを切っていたらインターホンが鳴った。
ドアを開けると、部屋着に着替えた後藤がレジ袋を手に立っていた。
「はいこれ」
「ああどうも。じゃあ上がって」
「え?」
えって……ああ、単に野菜と焼肉のたれを渡して肉とキャベツ受け取るつもりだったか。
「良かったらウチで一緒に食べない? この前片付けもやって貰っちゃったし、今日は全部私がやるからさ」
そう提案すると、後藤は少し困った顔になった。
なんでだろう。
死にたいと思ってた頃の話したの後悔してるのかな。それともうっかり抱きついてしまったのがマズかったかな。
「あ、あの大丈夫、何も話したくないなら音楽でも流しておくし、急に触ったりしないから安心して。この前はその……ごめんなさい」
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