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「うっ、今日の波美、凄……んっ、あ、ああ、もう無理――!」
私が感じると、夏目涼も感じるらしい。
そうだよね、私達は繋がっているんだもの。
私が感じて、夏目涼が感じて、それをまた私が感じてって、セックスってそういうものだったんだ。
あ、今忘れてたかも。後藤のこと。
もう思い出しちゃったけど。
そのまま忘れることは出来なくて、それでもしっかり夏目涼を感じて、快楽の頂点まで行ってしまった。
そして私の中から抜け出す代わりに脚を絡めた夏目涼に、私は尋ねた。
「ライブの準備は順調なの?」
「うーん……まあ……うーん」
夏目涼にしては歯切れの悪い返事。やっぱり桜川陽が問題行動起こしてるのかなと思ったけれど、彼が何処まで知っているのかわからないので遠回しに聞いてみた。
「何か問題あるの?」
「問題っていうかまあ色々……でも内緒。知らないで見た方が面白いだろ。見に来てよ。ステージでキラキラ光ってる俺の姿」
「ライブに? 私が? え、だってもうチケット完売したんじゃないの?」
「関係者として来ればいいじゃん」
えー!?
「無理無理、だって言えるような関係じゃないでしょ!?」
「そんなに細かく聞かれないから大丈夫だよ。仕事の付き合いですって顔してればいいじゃん」
そんな顔、出来るかな……
「凄いライブになると思うから、ね、来てよ」
って子犬の顔で言われたら、嫌とは言えなかった。
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