2.変わらないね

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「ねえ波美なら◎&♂様いけそうじゃない?」 ――は? 「えー? あ、でもそうだね、背高いしいけるかも」 おい! 掌で私の目元隠して言うな! てかその名前――だよね、やっぱ男じゃん! 見せられた画像は黒髪のイケメンだった。割とタイプかもって眺めてたら、みーたんが私の髪を触りだした。 「うん、この髪ならカットだけでいけるかも。写真撮らせてくれるならタダでいいよ」 「は!?」 「聞いてない? 私美容師。店すぐそこ」 あーなるほど、その髪は技術のアピールでもあったのかって――えー!? 「ちょ、ちょっと待って、私こんなに短い髪――」 「うん、もっと短い方が似合うと前から思ってた。いい加減その長髪にしか見えないロング止めたら?」 ううっ……! 「そうだよ、切ってもらったら? あ、そうだこの前さあ――」 話題が変わって、まあ私の髪型なんてほんとはどうでもいいよねって安心した。他の同級生の話になるかと思ったらそうでもなくて、結局後藤の話は聞けなかった。でも昔の面影のある顔で笑う彼女達を見ているだけで、なんだか元気になれた気がした。 そして店を出る時―― 「じゃあその気になったらいつでも来て」 みーたんに名刺を渡された。 正直彼女の下の名前も忘れてたし結婚後の苗字は聞いてなかったから、こういう名前なんだって思いながら受け取ったけど、店に行くことはないだろうなって思ってた。 思ってたんだけどね……
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